ジーニアス柿谷には清武弘嗣が必要だ。守備力増も、セレッソらしさ減

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 MF清武弘嗣とMF中村俊輔。新旧・日本代表の司令塔対決が注目されたセレッソ大阪とジュビロ磐田の今季J1リーグ開幕戦は、その期待度の高さとは裏腹に、見どころの少ない凡戦に終わった。

セレッソの自由奔放な攻撃を象徴していたのが柿谷曜一朗だセレッソの自由奔放な攻撃を象徴していたのが柿谷曜一朗だ 清武は負傷のためピッチに立てず、一方の中村は90分間フル出場。見慣れないサックスブルーを身にまとった10番は、セットプレーでは一流のキックを披露したものの、見せ場はその程度。C大阪の対応に手こずり、持ち前の攻撃性は示せなかった。

 両チームともにチャンスは少なく、スコアレスドローで終了。詰めかけた3万人超の観衆も、消化不良のまま帰路に就いたことだろう。

「司令塔対決」が実現しないなか、目についたのはC大阪の変化だ。圧倒的な戦力を擁してJ1昇格を成し遂げた昨季も、結果的には自動昇格ではなく、昇格プレーオフを勝ち抜いてのもの。苦戦の要因はあっさりと失点を許してしまう守備にあり、途中から3バックに変更してなんとか帳尻を合わせたものの、シーズンを通して守備の不安はつきまとっていた。

 今季就任した尹晶煥(ユン・ジョンファン)監督は、かつてサガン鳥栖を率いた時代、ハードワークをベースとした守備重視のサッカーで鳥栖をJ1昇格・定着に導いた実績を持つ。そんな指揮官に率いられたチームは、この開幕戦で明らかに生まれ変わった姿を示していた。

1 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る