「カズさんより先にやめたくない」小野と稲本の絶大な存在感は衰えず (3ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi
  • 青木一平●撮影 photo by Aoki Ippei

 今季のJ1全18チームには、1970年代生まれの選手が12人いる。そのうち、札幌には小野と稲本に加え、河合竜二、増川隆洋の4人が在籍しており、実に3分の1をひとつのチームで抱えているのだ。

 札幌に10年以上在籍した初めての選手となり、「ミスター・コンサドーレ」と呼ばれた砂川誠氏(現在は札幌のアドバイザリースタッフ)は、クラブがベテランを重要視する理由をこう説明する。

「社長もGMも、彼らの豊富な経験に価値を見出しているんです。特にシンジとイナは、普通の選手ではまず味わえない経験をしているので、その価値は大きい。チームメイトへの影響はもちろん、下部組織の選手たちにとってもよき手本になってくれています」

 確かに、アカデミーに所属する少年たちが、日常的に世界を知る選手の近くにいることで得るものは大きく、明確な目標にもなる。ふたりの存在感について、21歳の生え抜きセントラルMFである前寛之は次のように語る。

「イナさんは、あまり自分から多くを語るほうではないと思うけど、プレーでチームにメリハリをつけてくれます。すごい経歴を持った選手なのに、話しかければ気軽に答えてくれる。僕は同じポジションなので、ポジショニングとか、ボールを取るタイミングとか、色々と参考にしています。

 シンジさんはとにかくうまいので、見ているだけで本当に勉強になります。アドバイスやいろんな要求もしてくれるんですが、このチームで一番サッカーをわかっている人なので、すんなりと腑に落ちますね。サッカー以外のこともよく話してくれるし、いつも明るい人なので、一緒にいて楽しいです(笑)」

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