「選手のほうが楽」という感覚。だから三浦知良は50歳でも少年なのだ (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Nikkan sports/AFLO

 そうした予測のなか、カズがこの試合に課したテーマは「守備の連係を高めること」だった。

「練習で取り組んでいる連係、特にディフェンスの部分で相手にボールを通されないとか、くさびを入れさせないとか。ボランチを背にしたときの守備だったり、前からの追い込みだったり、そういうものは相手にボールを持たれる時間が長かったので、体感できたのかなと。それも非常に高いレベルの相手に対してね」

 もちろん、大会である以上は結果にこだわっていただろうし、得点という形を求めていたはず。だが、自身のコンディションや相手との力関係を踏まえ、プライドを保つのではなく、チャレンジャーの気持ちを備え、今やるべきことを徹底するという高いプロ意識が垣間見えた。

 もっとも結果を見れば、横浜FCはこの鹿島戦に勝利し、続くV・ファーレン長崎戦に引き分け、2勝1分でこの大会の優勝を飾っている。

 面白いことに、この大会で横浜FCが対戦したチームの監督は、すべてカズと同じ「1967年生まれ」だった。鹿島の石井正忠、福岡の井原正巳、長崎の高木琢也......。Jリーグ開幕当時にしのぎを削った相手であり、日本代表でもともに戦った仲間たちである。

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