アントラーズの快進撃は
なぜ起きたのか。
小笠原満男がその過程を語る (5ページ目)
「チャンピオンシップでは、一発勝負だったり、ホーム&アウェーだったりして、戦い方がいろいろとありました。そこで、しっかりと勝ち切ったということは、すごく大きな財産になったと思うんです。普通ではなかなか経験できないことですからね、ああいう緊張感の高い試合って。そこを勝ち切れたというのは本当に大きい。
例えばこの先、あと何年かして、チームがタイトルを獲ったことのない人の集まりになったときにどうなるか。オレらも何歳までもできるわけではないですし。でも、このタイトルまでの道のりを知っているヤツがいれば、『こうやって勝ったんだよ』って、立ち返る場所がある。それができる選手が今回の優勝で増えたっていうのが、何よりも大きいことだし、このチームがこの先も勝っていくうえでは、絶対に大事なことだと思う」
そして、この経験は、チームがうまくいかなくなったときほど生かされると、小笠原は言う。
「大事なのは、負けているときとか、連敗しているとき。悪い時期が続いて『じゃあ、どうやったら勝てるのか』ってなったとき、『あのときはこうだったから』と、今回経験を積んだ選手たちが、みんなに方向性を示してあげることができる。でも、それがなくて、年長者が愚痴りはじめると、チームは一気にバラバラになってしまうから」
小笠原はそう話すと、「前から思っていたんだけどね」と、声のトーンを上げてこう続けた。
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