広島の攻撃スタイルにピッタリ。工藤壮人は佐藤寿人の後継者となる (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO

 工藤がジュニア時代から所属する柏レイソルを離れ、バンクーバーに旅立ったのは昨シーズンのこと。結果的にMLSではケガもあり、17試合・2得点という不本意な成績に終わったが、異なる環境でプレーしたことに加え、MFアンドレア・ピルロ(ニューヨーク・シティFC)やMFスティーブン・ジェラード(ロサンゼルス・ギャラクシー)といったかつての名手たちと同じ舞台で戦った経験は、日本では味わうことのできない大きな財産だろう。すでに日本でも屈指のストライカーとしての評価を得ていた工藤が、26歳という年齢を考えても、MLSでの1年を経て、さらなる成長を遂げたと考えるのが自然だろう。

 なにより、工藤がブレイクを果たすであろうと考える最大の理由は、広島のスタイルに適した人材であるということだ。

 広島のサッカーは、徹底したボール回しで相手に揺さぶりをかけ、一瞬の隙を突いてゴールを陥れるというもの。とりわけ肝となるのが前線の連動性で、FW佐藤寿人を頂点とする1トップ2シャドーは、変幻自在のコンビネーションで相手守備陣を翻弄し続けてきた。しかし、昨季は得点王にも輝いたFWピーター・ウタカの個の力に依存するパターンが増え、広島らしさは徐々に薄れつつあった。

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