中村憲剛の司令塔は妻「彼女と出会って、僕の人生はすべてが好転した」 (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 ジュニーニョが川崎を離れたのが、2011年。ボランチとして、パサーとしての地位を確立した一方で、どこか寂しさを感じていた中村は、2013年になり懐かしい感覚を呼び起こされる。

「とにかくジュニは『オレを見ろ!』って言っていた。そのときは、どれだけ自分のこと好きなんだよって思っていましたけど(笑)。でも、後々、(大久保)嘉人がうちに来たときに、その感覚を思い出しましたよね。『(ボールを)よこせ!』って声を聞いて(笑)」

 中村は、FC東京に移籍することを決意した大久保嘉人と過ごした4年間を、少し寂しそうに振り返った。

「嘉人にパスを出したときに、『懐かしいな、この感覚』って思ったんですよね。僕が嘉人にくさびのパスを入れても、嘉人はキュって前を向いて行ってしまう(笑)。数多くの選手とプレーしてきましたが、同じ感性でプレーできたのは、ジュニと嘉人くらいなのかもしれない」

 2016年12月20日に行なわれたJリーグアウォーズで最優秀選手賞を受賞したとき、壇上で「僕がこの賞を受賞できたのは、僕がプレーしやすいように、ともに戦ってくれたチームメイトのおかげ」と感謝を示し、「フロンターレのすべてに関わってくださっている、みなさんのおかげだと思っています」という言葉で中村は締めくくった。そのスピーチの背景には、今のチームメイトだけでなく、彼の人生に携わってきたすべての人への謝辞が込められていた。

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