J1からJ2、J3、JFLまで渡り歩いた
市川大祐が語る「引退秘話」 (6ページ目)
単純な言葉だけでは説明が難しいのですが、これまでのサッカー人生で自分が感じた、厳しさの中にある楽しさを、次の世代に伝えられたらいいですね。最近、『サッカーを楽しめ』という言葉をよく聞きますが、ちょっと本質的な部分と違っているように思います。『楽しむ』という言葉だけが先行すると、いつも笑いに包まれているとか、ちょっとしたプレーにもワーッと盛り上がるとか、遊び心が強くなる傾向にあるような気がするんですね。そうではなくて、真剣にやるからこそ、わかる楽しさを知ってほしいし、その結果、サッカーをやっていてよかったと思えるようになってほしいんです」
――それを市川さんに教えてくれたのが、アルディレス監督とペリマン監督だったわけですね。
「そうです。さらに言えば、ふたりの指揮官とも選手をよく見ているし、選手も見られている気がするんです。選手からすれば、それはすごくうれしいことです。例えば、練習が終わったあとに『今日もいい練習をしていたね』と監督やコーチから言われたら、明日は『もっといい練習をしよう』と思う。具体的にどこがとか、何がとかを指摘されなくても、そのひと言で高いモチベーションが維持されるんです。
また、ふたりに言われたのが、相手をリスペクトすることです。試合の相手が高校生だろうと、たとえミランだろうと、同じように相手に敬意を払って臨め、と。相手を見下したり、逆に謙遜したり、恐れる必要もないと、繰り返し言われました。常にその姿勢で臨んできたつもりです」
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