「強いセレッソを取り戻す」。柿谷曜一朗、山口蛍が語る3年ぶりのJ1 (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Etsuo Hara/Getty Images

 そして迎えた決勝。相手はリーグ戦3位の松本を破る番狂わせを演じた、同6位の岡山である。リーグ戦順位で上位のセレッソはホームで試合を行なうことができ、引き分けでもJ1昇格が決められる。だが、決して勝負強いとは言えないセレッソにとって「引き分けでもいい」という状況は、いわば諸刃の剣。有利な条件は、同時に戦い方を消極的にさせる不安もあった。

 しかし、この日のセレッソは最後まで前へ出る姿勢を崩すことがなかった。岡山のキャプテン、DF岩政大樹に「セレッソにはスキがなかった」と脱帽させるほど、高い集中力で90分間を戦い抜いた。

 MF山口蛍が語る。

「引き分けでの昇格は望んでいなかったし、勝つことだけしか考えていなかった。今日は攻守ともに90分、ひたむきに走ろうという感じだった」

 1点をリードした試合終盤には、岡山が前線に高さのある選手を並べ、パワープレーを仕掛けてきた。ゴール前に放り込まれるロングボールを、ピンクのユニフォームがひたすらはね返す展開が続いたが、それでも山口は「しっかり集中していたので、やられる気はまったくしなかった」と振り返る。

 準決勝の京都戦では、最後の最後で同点に追いつかれた。さらに遡(さかのぼ)れば、昨季プレーオフ決勝でも、1点をリードしながら87分に追いつかれ、リーグ戦順位で上回る福岡に昇格キップをさらわれている。

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