「強いセレッソを取り戻す」。柿谷曜一朗、山口蛍が語る3年ぶりのJ1 (5ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Etsuo Hara/Getty Images

 当然のこととはいえ、柿谷のプレーに本来のキレはなかった。だが、チームの象徴とも言うべき選手がピッチに立っていることには、計り知れない効果があっただろう。

 ラストチャンスにかけ、悲壮な覚悟でピッチに戻ってきたキャプテンを中心に、チームはひとつにまとまった。その結果が、J1昇格プレーオフ4戦目にして初めて味わう勝利の美酒だった。

 柿谷は望み通り、歓喜のときをピッチ上で迎えた。試合終了を告げるホイッスルが鳴った瞬間、精も根も尽き果てたかのように、背番号8はピッチに倒れ込んだ。

「うれしかった。最後のほうは足も痛かったので、『頼む、守ってくれ』と思っていた。DF陣には感謝している」

 3年ぶりのJ1復帰。FWディエゴ・フォルランが加わり、優勝候補の一角と目されてスタートしながら、まさかのJ2降格を味わった2014年シーズン以来となるJ1に、セレッソは再び戦いの舞台を移す。

 とはいえ、元をただせば、セレッソはJ1に上がることを目標にするようなクラブではない。大熊清監督が「アジアや世界を目指しつつも、足元を見つめながらやっていくことがクラブとして大切。そのスタートラインに立った」と話していたように、これからが本当の勝負である。山口が語る。

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