勝負に徹した「まるで鹿島のような浦和」。鉄壁の守備でJ1優勝に王手 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 ペトロヴィッチ監督がその苦悩を明かしたように、浦和にとってはまさに暗中模索の一戦だった。

 それでも、不安視されていた試合勘の欠如の影響はほとんど感じられなかった。立ち上がりに裏のスペースをFW土居聖真に突かれたものの、隙を見せたのはその程度。「最初の15分、20分で試合勘を取り戻そうと話していたけど、思ったよりいい入りができた」とDF槙野智章は振り返り、「前半から主導権を握って、球際で激しく戦っていたのは浦和レッズのほうだった」とDF森脇良太も胸を張る。

 前線からしっかりとボールを追い、中盤でパスの出所をつぶし、入ってきたボールは最終ラインで確実に食い止める。チャンピオンシップ準決勝の川崎フロンターレ戦で決勝ゴールを奪った鹿島アントラーズのエースFW金崎夢生にもまったく仕事をさせず、被シュートを0本に抑えた、まさに隙のない前半だった。

 一方で攻撃では、司令塔の柏木がMF永木亮太とMF小笠原満男に交互にマークされてその役割を全うできず。代わりにフリーとなったMF阿部勇樹がボールをさばく機会が多くなったものの、浦和の攻撃の肝となる2シャドーも厳しくケアされ、起点となるべき1トップのFW興梠慎三もボールを収められない。前半終了間際に生まれたMF武藤雄樹の決定機以外は、チャンスらしいチャンスを作れなかった。

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