海外サッカーではもう常識。昌平高校が試験導入したGPSデバイスとは (2ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva

 そして10月中旬には、同校の藤島崇之監督をはじめとしたコーチ陣に対して、解析したデータをもとにしたシステムの説明がなされた。今回使用されたデバイス、S&Cスポーツ科学計測テクノロジーの「Field Wiz−フィールドウィズ」によって測定されたデータは、選手が移動したゾーン(ヒートマップ)や、スピード別の走行距離、加速と減速の大きさと回数、心拍データ、最大および平均スピードなど多種多様。

「Field Wiz−フィールドウィズ」で測定されるデータの画像サンプル (提供:S&Cスポーツ科学計測テクノロジー)「Field Wiz−フィールドウィズ」で測定されるデータの画像サンプル (提供:S&Cスポーツ科学計測テクノロジー) 目で見るだけでは分からない詳細な数値を前に、藤島監督はその活用法について言及した。

「選手の適性を見極めるのに有効ですね。例えば、『トップスピードはそんなに速くないけれど、加速度はある』ということが分かれば、その瞬発力を活かせるポジションで起用してみるなど、コンバートも試しやすくなる」

 慣れ親しんだポジションを変更されるのは、選手にとって抵抗感もあるだろう。そこで具体的な数値を示すことは、新たな可能性を感じさせる大きな説得力になる。また、システムの説明を行なった、S&Cスポーツ科学計測テクノロジーの代表で、龍谷大学スポーツサイエンスコースの長谷川裕教授は、「データを活用すれば、効率的な練習ができる」とつけ加えた。

「トップスピード、加速度が物足りない選手にはダッシュの練習を、試合の後半でスピードが落ちる選手にはスタミナの強化に重点を置くなど、個別のメニューを組み立てやすくなります。加速度、減速度の低い選手は、判断力や決断力を欠いているのかもしれない。それを説明したうえで練習を行なえば、選手の思考力を鍛えることもできるんです」

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