2016.09.29

J3首位の栃木を支える異色のコーチは、
元バルセロナ在住カメラマン

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 岸本勉●撮影 photo by Kishimoto Tsutomu

 ルイス・ファン・ハール、そしてフランク・ライカールト&ヘンク・テン・カーテの時代だ。

 ドリームチームと呼ばれたクライフの時代が終わり、低迷期を迎えた時代にバルセロナに定住。05~06シーズン、チャンピオンズリーグで14年ぶりの優勝を遂げるまでのその一連の紆余曲折を、目の当たりにしてきた。「グアルディオラの監督時代を見ていないことが心残り」とは本人の言葉だが、バルサのスピリット、クラブとしての哲学に迫ろうとするなら、勝っているときより、勝てないときの方が語るべき要素は多くある。学ぶべき要素が多く含まれている。指導者として。

 バルサは彼がバルセロナを離れた直後、絶頂期を迎えた。カメラマンとしての商売を考えれば、惜しいことをしたことになる。「やっぱり、サッカーを"する"ことが好きだったんです」と、彼は言うが、帰国して最初に向かった先は沖縄だった。当時、JFLだったFC琉球。取材先でチームの関係者と出会い、話が盛り上がった末に、フロントのスタッフとして沖縄行きの流れになったと言うが、はた目にはあまりにアッサリした決断に映った。

 かつてサッカー専門誌を辞め、バルセロナに移り住むときの決断も、同様にあっけなかった。それまでカメラ機材を一切、いじったことがないにもかかわらず、バルセロナでカメラマンになるという決断をしたのだ。