J1残留をかけた湘南と福岡の「裏・天王山」、それぞれの背水の陣 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO

 対する福岡とすれば、会心の試合だったに違いない。湘南に合わせて3バックで試合に入り、先制するや本来の4バックに戻して、前からのアグレッシブな守備で相手の自由を奪っていく。さらには、2点のリードを得るとリスクを負う必要もなくなり、守備ブロックをしっかりと形成できるようにもなった。

「前半としては、今までのなかでのベストゲーム」と、井原正巳監督も胸を張る理想的な展開に持ち込み、後半も集中力を切らさずに湘南の反攻をしのぎ、残留に向けた貴重な勝ち点3を手にした。

 もっとも現実を見れば、負けた湘南だけでなく、勝った福岡も置かれた状況が厳しいことに変わりはない。残り5試合で、残留圏内である15位のアルビレックス新潟とは、ともに8ポイント差。最低でも3勝を挙げなくてはいけない計算だ。今季わずか4勝(福岡)と5勝(湘南)の両チームにとって、そのハードルは決して低くない。

 面白いのは、「残留」という目標に向けた両者のアプローチの違いだ。

 福岡の井原監督は、現実路線を打ち出した。

「毎試合毎試合、しっかりと準備をして、決勝戦のつもりで戦うしかない。相手のスタイルを分析したうえで、我々の戦い方をやっていきたい」

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