福田正博が考えるJリーグ放映権「2100億円」の有効な使い方 (4ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by AFLO

 横浜フリューゲルスの消滅という苦い経験を過去に持つJリーグは、すべてのクラブが落伍することなく存続していけるよう、いわば「護送船団方式」で発展してきたといえる。

 それは、2013年度の決算時にJ1・J2で3年連続赤字・債務超過のクラブが16あったのが、2014年度にはゼロになったように、健全な経営をもたらすメリットがある。反面、クラブが独自路線を打ち出そうとする個性を発揮しづらく、ビッグクラブが生まれにくいという弊害がある。

 日本代表選手を多く揃えるビッグクラブがあり、若手選手の育成型クラブがあり、外国人選手ばかりのクラブもある。そうした独自色やさまざまな経営方針や強化策のもと、個性的なクラブが多様に混在することで、Jリーグというコンテンツがより魅力溢れるものへと成長していくと考えれば、Jリーグはクラブに対する規制を緩和してもいいのではないか。

 健全経営を放棄してもっと挑戦しようと言いたいわけではない。だが、企業が経営努力し、新しいものを創出するのは、リスクを抱えて勝負しているということでもある。増加する分配金を各クラブが独自の経営方針や強化理念に沿って使える道を、Jリーグは示すべきではないだろうか。

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