ジュニア世代の試合データから読み取る、8人制サッカーの可能性 (3ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva

 U-12大会決勝も、似たような試合展開となった。

 U-12大会決勝を戦った両チームに提供されたデータ U-12大会決勝を戦った両チームに提供されたデータ

 U-11大会同様に決勝に駒を進めたレジスタFCは、やはり高い位置から相手にプレッシャーをかけ、DFの4番・梶田選手にボールを集めて多数のパスをつなぐ。ドリブルの仕掛けも19回と多く、個人技でチャンスを作って前半10分だけで9本のシュートを放つなど、ボール支配率、シュート本数でディアブロッサ高田FC(奈良)を圧倒。ゲームを支配していたのは完全にレジスタだった。

 ディアブロッサにとっては苦しい展開の連続。それでも、空中戦で強さを見せ、自陣深く攻められてもDFの5番・川口選手を中心に根気よくボールを跳ね返し続けた。ワンタッチパスで相手のプレッシャーをかわし、ワントップの17番・鈴木選手につないで7回のシュートチャンスに結びつけている。堅守速攻のスタイルを最後まで貫いてPK戦に持ち込み、見事に勝利を収めた。

 インパクトスタッツには載っていないが、この2試合では、前方へのパスの割合が極めて高かったというデータも出ている。縦への意識が強かったこともあるだろうが、ボールが絶え間なく動いて落ち着くことが少なく、サイドからのチャンスを演出する場面はあまり見られなかった。

 8人制サッカーでは、ロングボールが多用された場合などで、選手の体格差がそのまま点差につながることもしばしばある。パスをつなぐポゼッションサッカーが主流となるなか、8人制サッカーが「本当に選手の成長につながるのか」という声があるのも確かだ。しかし、小学5年生、6年生だと、パスを回すスキルが身についていない選手も多い。そんな選手たちに高度なパスサッカーを要求するのは酷にも思える。

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