【恩田社長の600日】クラブライセンス制度が
FC岐阜に残したもの

  • 恩田聖敬●文 text by Onda Satoshi

FC岐阜・恩田社長の600日 ~Jリーグ地域クラブへの伝言~
 第9回 『クラブライセンス制度』は何を成しえたか

岐阜市スポーツ交流センター。FC岐阜のクラブハウス機能を兼ねている岐阜市スポーツ交流センター。FC岐阜のクラブハウス機能を兼ねている

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 Jリーグには、クラブライセンス制度というものがあります。いわゆるJリーグに加盟するための免許です。ライセンス交付を受けるためには、さまざまな要件をクリアしなければいけません。その内容は、練習環境、スタジアムの観戦環境といった設備面のものと、財務状態や組織の状態といった経営面のものがあります。それぞれの項目別にクラブに求められる要件は仔細に定められており、要件の厳しさにより、「J1ライセンス」と「J2ライセンス」に分けられます。

 FC岐阜は、私が社長に就任した当時、J2ライセンスしか保有していませんでした。つまり、J1の免許はなく、仮にJ2リーグで優勝してもJ1には昇格できないということです。2014年シーズンにJ2で5位に入ったギラヴァンツ北九州が、J1ライセンスを保有していなかったため、昇格プレーオフに出場できなかったのは、記憶に新しい話です。

 FC岐阜は、私が社長に就任する以前までは、J1ライセンスどころの話ではなく、毎年のように最下位争いを演じ、資金難から会社そのものが存続できるかどうかまで追い詰められていました。ライセンスの財務基準には「債務超過」「3期連続の赤字」の、いずれにも該当しないことがライセンス交付の条件とされています。この条件はJ2ライセンスでも同様に求められます。

 この財務基準の設定により、赤字を親会社の広告費として処理していたクラブや、地方都市で何とか資金繰りを回していたクラブは、自分の足で立つことを求められます。それぞれのクラブが独自の財務手当てを行ない、結果、ライセンスの経過措置が終わる2014年シーズン末には、すべてのクラブが財務基準をクリアしました。これはライセンス制度の大きな成果だと思います。

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