【恩田社長の600日】チームの強さと観客動員数が比例しない難しさ (3ページ目)

  • 恩田聖敬●文 text by Onda Satoshi  photo by AFLO

 そして、気になる観客数は「11,069人」でした。これが多いのか少ないのか、当時の私には分かりませんでした。ただ、この数が歴代最高ではないという話を聞いて、一抹の不安を感じたことをよく覚えています。

 一週間後の3月9日、ホーム富山戦。この日も攻撃陣は絶好調で、高地の華麗な個人技によるゴールを含め3点を奪取。守備陣も開幕戦の反省を生かし、最後までゴールを守りきり、3対0で快勝しました。しかし、観客数は「7,879人」と開幕戦を大きく割り込みました。2013年シーズンの平均観客数4,525人に比べれば、飛躍的に増えていますが、私はさらに不安になりました。

 そんな私の思いとはうらはらに、この時点でFC岐阜は、得失点差でJ2首位に立ちます。まだ2試合ですが、新聞・テレビ、多くのメディアが大きく書き立てました。今年のFC岐阜は強い! そう岐阜県民に意識づけるのに、十分な情報発信があったと思います。

 そんな状況を受けて、アウェー山形戦を挟んで、3月22日、ホーム湘南戦。過去2試合と違い、土曜日開催であり、アウェーからの集客も見込め、岐阜県民は強いFC岐阜のことを、メディアを通じて見聞きしています。集客の条件は揃っているかのように見えました。

 しかし、この日の観客数は「7,222人」。富山戦からさらに減少する結果となりました。試合も、2対3で敗戦しました。私は心底恐怖を感じました。ラモス監督、川口選手、三都主選手と、J2ではこれ以上ないタレントを揃えてもこの観客数なのか? このまま何もしなければ、私が社長になる前にブームは終わってしまうのでは? 勝っていてもこの観客数なら、負け始めたら、いったいどうなるんだ? 見込み違いを思い知らされた、開幕3試合でした。

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