日本サッカーを支える巨大施設に込められた、元教師の「部活への思い」
高校サッカーの強化を担う
時之栖(ときのすみか)スポーツセンター物語 前編
時之栖・相談役の阿部章さん(左)とスポーツセンター長の阿山恭弘さん 時之栖スポーツセンターという施設をご存じだろうか。
東名高速道路の裾野ICを降りてすぐ、富士山を間近に見上げることのできるこの場所に、全17面ものグラウンドと、トータルで約2500人を収容できる宿泊施設を備える。それが時之栖スポーツセンターだ。
小学生から社会人まで年齢やレベルを問わず、多くのチームがここで合宿を行なうため、地元・静岡はもちろん、関東圏でサッカーをする人たちにとっても、おなじみのスポーツ施設と言っていいだろう。
「小学生のときにここで合宿をした人が、今は監督やコーチになって小学生を連れて戻ってくる。そんなこともあるんです」
笑顔でそう語るのは、株式会社時之栖で相談役を務める阿部章さん(69歳)。長年にわたり、この広大なスポーツ施設の運営に携わってきた、言わば、時之栖の生き字引的存在だ。
元々、中学・高校で教員をしていた阿部さんがこの地に根を下ろしたのは、1995年のこと。民間のレジャー施設の跡地となっていたこの場所で、「スポーツとリゾートを合わせたことをやりたい」と考えた時之栖社長(現・会長)の庄司清和さんに誘われたのがきっかけだ。
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