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福田正博が読む2017年のハリルジャパン。
W杯への道は見えているか (2ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • Photo by AFLO

「世代交代を推し進める」ことは、チームが好調の時に実践するのはとても難しい。なぜなら、プロの世界で最優先に求められるものは、「勝利」や「結果」という現実であって、「育成」や「可能性」ではないからだ。そのため、チームバランスを崩すおそれがある新しい選手の起用は、ほとんどの監督は二の足を踏んでしまうものである。

 ただし、監督の仕事は、あらゆる事態を想定した準備をしておくことも重要だ。ハリルホジッチ監督は、主力選手が常に万全な状態で揃うことを前提にした強化を優先し、「リスクマネジメントを後回しにしたツケ」をW杯アジア最終予選で払わされたと言っても過言ではないだろう。

 ハリルホジッチ監督にとって大きな誤算だったのは、本田と香川が2016-2017シーズンを迎えた途端に、所属クラブでの出場機会を失ったことだ。前述のシリア戦が行なわれた2015‐2016年シーズンの終盤、彼らは所属クラブでレギュラーだったが、数カ月後に状況は激変。所属クラブの監督交代やライバルの加入などで、ポジション争いで後れをとり、2016‐2017シーズンはベンチを温める存在になってしまった。

 そして、W杯アジア最終予選の初戦となるUAE戦。主審の裁定に賛否もあったが、それ以上にハリルホジッチ監督が信頼していた海外組の調子が悪く、敗戦でスタートを切ることになってしまった。本田や香川はその後も代表戦で本来のパフォーマンスを発揮できない試合が続いたが、それでもハリルホジッチ監督は彼らをスタメンから外す決断をなかなか下せなかった。

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