プロ19年。アビスパ古賀正紘が語る「現役引退を決意した瞬間」 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by YUTAKA/AFLO

「やるべきリハビリはしっかりやっていたつもりでしたが……。ある日、トレーナーの人に『気持ち入ってないでしょ?』ってズバッと言われて。どこかで諦めている気持ちもあったんです。恥ずかしい話ですよね。自分に対しても周りに対しても。『(J1昇格)プレーオフのピッチに立って、クローザーになってよ!』と明るく励まされ、それからは復帰が間に合うとか、間に合わないではなく、最後まで向き合うことにしました」

 古賀はプロ19年間、目の前の戦いに必死に対峙してきたのだ。

 結局のところ、福岡が挑んだプレーオフのピッチには立っていない。しかし、最後まで己だけの戦いをやり遂げた。そしてチームはセレッソ大阪と引き分け、悲願としていた昇格が決まった(リーグ戦上位の福岡は引き分けでも昇格のレギュレーション)。人のいい古賀は、ひたすらチームメイトの健闘を祝した。

「サッカー選手になっていなかったら、とよく昔は聞かれましたが、本当にその人生が考えられない。18歳でプロに入って、“ここで生き抜いていくには武器がなきゃ駄目だ”って思い知らされて。自分の特長として、インターセプトを磨きましたね。あの頃に戻れたとしたらなにがアドバイスできるか? うーん、基本的に精一杯やったんで。これが自分の力だと思います」

 そう言い切る古賀は選手人生を全うしたのだ。

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