勇躍・武藤雄樹の本性。「妻の言葉が、レッズ入りを決断させた」 (4ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

――本田圭佑選手、香川真司選手、宇佐美貴史選手、武藤嘉紀選手、原口元気選手……。日本代表の2列目を争う彼らに負けない自分の武器って、何だと思いますか?

「そうですね……、負けないかどうかはわからないですけど、DFと駆け引きしてゴール前に飛び込んでいくことに関しては、絶対に負けたくない、って思いますね。みんな、ドリブルやテクニックは、僕よりもはるかに上手いので、そこではなく、泥臭くても何度でも飛び込むところで勝負したいと思っています」

――こちらから2列目の選手たちの名前を挙げておいて何ですが、話を聞いていて思ったのは、武藤選手が目指すべきは、彼らではなく岡崎慎司選手、という感じですね。

「そうなんです。僕も、どちらかと言ったら、岡崎さんを目指すべきなんじゃないかな、って思っています。あれぐらい動けて、あれぐらい貪欲にゴールを狙っていきたい、っていう気持ちがすごくあります。そのためにも、もっと決定力を磨かなければならないし、最後まで足が止まらないようにしないといけない。それには、レッズでもっともっとがんばらないといけないって思っています」

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 日本代表の、9月3日のカンボジア戦(3-0)と、8日のアフガニスタン戦(6-0)は、これまでと同じようにテレビで観戦した。

 だが、画面に向ける視線と意識は、これまでとは大きく変わった。

「今まではファンとして、漠然と見ていたんですけど、今回は『もし、ここに自分がいたらどうしていたかな』とか、『今の(シーン)、俺だったら決められていたかな』っていうふうに見ていました。現実感が湧いてきたというか」

 武藤雄樹は、わかっている。何が足りなかったから、そのピッチに立てなくて、どうすれば、そのピッチに立てるようになるのかを。

 Jリーグの舞台で自らも認識する課題を克服したとき、その得点力を、日本代表でも生かせる日が来るはずだ。

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