再び降格の危機。清水エスパルス、J1残留へ光は見えているか (2ページ目)
チームが上向きになった要因は、何より守備力の強化にある。
昨年8月からチームを率いてきた大榎監督は、それ以前に比べて、攻撃面ではよりスムーズな展開を可能にした。「人もボールも動くサッカー」を目標に掲げて、前線に入るチャンスボールは確実に増えていった。しかしそれが、守備が手薄になる時間を増やす原因にもなった。さらに、今季途中から採用した3バックが、両サイドの深いスペースを敵に突かれる原因となり、一旦相手に主導権を握られると為すすべがなく、結果的に失点増加につながった。
そうした状況には、DF陣からも不満の声が漏れていた。
「3バックだと、相手のカウンターの際に守備の枚数が足りなくなって、両サイドからフリーでクロスを上げさせてしまう場面が多い」
そこで、田坂監督は、就任直後に3バックから4バックに変更。これにより、「サイドのスペースを埋めることができて、少なくともフリーで簡単にクロスを上げさせることはなくなった」と、守備面における不安が即解消し、田坂監督もホッと胸をなでおろした。
また、田坂監督による"闘う姿勢"の徹底も、守備力の向上をもたらした。もともとセカンドステージ開幕前、ヘッドコーチに就任したときから「(清水の選手は)プロ選手に必要な"闘う姿勢"が十分ではない」と、対人練習には力を入れてきたが、その意識をさらに強化。
「(ボールを奪いに)一度行ってダメなら、また行かないといけない。守備があまりに淡白過ぎる。絶対に相手を止めてやる、という気持ちが足りない」と激しく檄を飛ばして、連日厳しい指導を繰り返してきた。
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