再び降格の危機。清水エスパルス、J1残留へ光は見えているか

  • 望月文夫●文 text by Mochizuki Fumio
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 Jリーグ発足時から名を連ねる「オリジナル10()」のひとつで、ここまで一度も下部リーグに降格することなく、日本サッカー界をけん引してきた清水エスパルス。その"名門"クラブが今、厳しい戦いを続けている。
※Jリーグ発足時の10クラブのこと。鹿島アントラーズ、ジェフユナイテッド市原、浦和レッドダイヤモンズ、ヴェルディ川崎、横浜マリノス、横浜フリューゲルス、清水エスパルス、名古屋グランパス、ガンバ大阪、サンフレッチェ広島(クラブ名は加盟当時の呼称)。

 昨季も降格危機に直面していた。最終戦で辛うじてJ1残留を決めたが、その流れを今季も変えられなかった。ファーストステージを最下位で終えると、セカンドステージも第9節終了時点で15位と低迷し、年間順位はJ2自動降格圏内の17位(勝ち点20)。J1残留ラインとなる年間15位のアルビレックス新潟とは、ついに勝ち点5差まで広がって、まさに後がない状況に追い込まれている。

FW鄭大世はエスパルスの救世主となれるか!?FW鄭大世はエスパルスの救世主となれるか!? だが、最近の試合内容は決して悪くはない。セカンドステージ第5節終了後、クラブOBの大榎克己監督が低迷を理由に辞任。第6節から、田坂和昭ヘッドコーチが監督に昇格して指揮を執り始めると、状況が一変した。それまでは相手に押される時間が長かったが、ここ4試合はすべて相手を上回るシュート数を記録。第7節の新潟戦(1-1)、第9節のFC東京戦(1-1)はともに引き分けに終わったものの、終始相手を圧倒した。

 FC東京戦を見ていた清水OBの解説者も、その戦いぶりを絶賛。
「上位にいないのが不思議なほど(清水には)勢いがある。すべてがFC東京より上だった。降格させてはいけないチームだし、この試合を見る限り、それはないだろう」と、J1残留に太鼓判を押した。

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