福田正博が提言「ハリルホジッチ監督にオススメのアジア対策」 (2ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro photo by Takahashi Manabu

 にもかかわらず、試合中は前線両サイドの本田圭佑、宇佐美貴史も中央に入り、相手DFもゴール前に集結する状況で、サイドから相手の守備ブロックを広げようとする攻撃はほとんど見られなかった。

 試合後、ハリルホジッチ監督は「サイドからの攻撃を指示した」という主旨のコメントを残し、選手も「組織だったブロックで守る相手には、攻撃のバリエーションを持たせることが大事」と自覚していたようだ。だが、長谷部誠のほか、過去にW杯予選でゴール前を固めるアジア勢との戦いを何度も経験した選手がいたにもかかわらず、臨機応変なプレーをすることができなかった。

 これまで数多くの外国人監督と仕事をしてきた私自身の経験から思うに、外国人監督が日本人選手を初めて指導する場合、試合中に指示を出しても選手がそれを表現できないケースが多い。

「縦に速く!」と練習で徹底指導されると、ほとんどの日本人選手はそれを忠実に守る。同時に、言われたことにとらわれすぎて自由奔放さを欠いてしまう傾向が、欧州や南米の選手よりも強い。

 だからこそ、言葉の壁がある外国人指導者はそうした日本人の気質をふまえて、明確な形で選手たちに意図を伝える工夫が必要になる。たとえばシンガポール戦なら、「サイドから攻めろ」という指示だけではなく、3バックに変更して両サイドバックを高い位置に押し出すか、サイドアタッカーを両サイドのライン際ギリギリに配置して、「サイドから揺さぶる」という監督の意図をより明確に伝えるべきだったと思う。

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