福田正博からレッズへの提言。「悪役になる覚悟を持て」 (3ページ目)

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 しかし、来シーズン浦和が優勝するためには、クラブの方向性を変える必要があると私は思う。

 現在の浦和には、日本代表選手は西川しかおらず、個人よりもチーム力で戦うことを優先したサッカーを志向している。しかし、チームが苦しい状況を打開し、勝負を決められる個の力がもっと必要だ。もっと、なりふり構わず勝ちにいくクラブになってもいいと思っている。

 ペトロビッチ監督のサッカーをさらに推し進めるために、広島から青山敏弘を獲得するのもひとつの手だ。もし青山を獲れば、柏木陽介、槙野、森脇、西川に続く広島からの獲得になるため、当然批判も集まるはずだが、バイエルンがライバルのドルトムントから選手を獲得し続けているように(2013年にゲッツェ、2014年にレバンドフスキが、ドルトムントからバイエルンに移籍)、サッカー界ではよくある補強であり、ルール違反をしているわけではない。堂々としているべきだ。

 ライバルクラブから選手を獲得して補強する。そうすることでアンチ浦和ファンが増えることになるかもしれないが、裏を返せばアンチが増えることは熱狂的なファンを多く持つことにもなる。つまり、浦和がJリーグで悪役になることもあるかもしれないが、そうなることを受け入れるくらいの覚悟を持って強化をしてもらいたい。浦和がずば抜けた存在になれれば、Jリーグがさらに盛り上がるきっかけにもなる。

 ビッグクラブになるためには、圧倒的に強くならなくてはいけない。そして、真の意味で浦和が常勝クラブへと成長していってほしい。「常に勝たなくてはいけない」というプレッシャーにさらされることで選手は強くなり、そのことが、日本代表の強化、W杯での勝利にもつながっていくはずだ。

プロフィール

  • 福田正博

    福田正博 (ふくだ・まさひろ)

    1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。

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