2014.11.24

福田正博が分析。アギーレJとザックJの最大の違い

  • photo by Matsuoka Kenzaburo

 11月の親善試合を振り返ると、やはりベストメンバーの日本代表は、アジアの中では力があると実感することができた。チームとして見事に機能していた。ただし、これはアギーレ監督の手腕だけではなく、ザッケローニ前監督のもとで4年間作り上げたものを発揮した部分も大きい。試合中「4−3−3」から「4−2−3−1」へのスムーズなシステム変更がハマったことも、それを証明している。

 11月の2試合に限れば、アギーレ監督が就任時に掲げた「4−3−3」も、「縦に速いサッカー」もあまり見られず、アギーレ色は薄かったと言わざるをえない。

 ただ、これはネガティブなことではない。メンバーとシステムを、ザックジャパン時代に戻したとなると、時代に逆行しているような印象を受ける人もいるかもしれないが、そうではない。これまで築いてきたサッカーが日本代表に浸透していて、戦い方の選択肢のひとつになっているということであり、積み上げと継続性があるということは強みだ。

 また、11月の2試合でアギーレ監督にとって最優先すべきものがシステムやスタイルではなく、何よりも勝利だということもわかった。これは、理想のスタイルを追い求めて、結果を手にできなかったザッケローニ前監督とは違う点だろう。

 もうひとつ、アギーレ監督とザッケローニ監督の違いを挙げれば、本田圭祐を中央ではなく右サイドに置いていることだ。これによって、4-2-3-1のときに香川真司がトップ下、岡崎慎二が1トップと、それぞれが所属するクラブでのポジションとほぼ同じ位置でプレーできるようになり、攻撃はザックジャパン時代よりもスムーズになっている印象だ。

 プレッシャーが高くチャンスを作るのが難しいピッチ中央から、右サイドに本田が移ったことで攻撃のバリエーションが増え、本田からチャンスが生まれるシーンが多くなっている。

 また、本田が右サイドでボールをキープすることで相手守備陣が本田のいるサイドに集まり、その結果逆サイドの守備が薄くなるため、ピッチをより幅広く使えるようになった。さらに、相手に押し込まれたときの苦しい局面を打開するために、本田のキープ力を生かしてサイドから立て直すこともできている。

 さらに、武藤嘉紀や乾貴士、原口元気や齋藤学ら、若いアタッカーたちが、左サイドのポジションを狙って、高いレベルで競争するようになった。