浦和・柏木陽介の覚悟「3年も同じ失敗はできない」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 すると返ってきた答えは、「むしろ(中断明け後のほうが)内容はよくなっていると思う」。ならば、なぜこれほどまで得失点の数字が変化したのか。今季浦和の攻撃を引っ張るレフティが、その理由を明かす。

「(中断明けから)ちょっとやり方を変えて、前からプレスをかけるようになった。世界を見てもそうやけど、ボールを失ってもすぐに(守備へ)切り替えて高い位置からのプレッシングで奪い返し、2次攻撃、3次攻撃につなげられるチームは強いから。(中断明けの)最初の頃は、それがうまくハマらないことがあって、カウンターを食らうこともあったけど、今はその時期を乗り越えて、安定して(目指すサッカーが)できるようになっている」

 そうした積極的な守備意識が、ときに裏目に出ることもあったが、結果として得点増につながっているというわけだ。柏木が続ける。

「高い位置でボールを奪い返せれば、そのままみんなが攻撃参加できるし、一度(攻撃を)止められても、みんなが前に出ていっているからセカンドボールも拾える。(第26節/9月27日。0-1で敗れた)セレッソ戦も、たまたま点が入らなかっただけで、内容はそんなに悪くなかったと思う」

 確かに最近6試合だけを見れば、得点15を量産する一方で、失点はわずか4に抑えている。つまり、失点は前半戦に近い水準まで戻し、得点だけを増やしているのである。

 勝ち点のうえではイーブンペースで走り続けているように見える浦和も、試合内容に目を向ければ、優勝へ向けてさらに充実してきたとさえ言えるのだろう。

「(試合内容に)手応えはある」

 柏木もそう言って、自信をうかがわせる。だが、強気な言葉を並べる背番号8も、残り試合が少なくなり、優勝が目の前にちらつく状況には「怖くなってきた」と、本音をチラリと漏らす。

 2位に勝ち点7差をつけているとはいえ、2位ガンバ、3位鹿島アントラーズ、4位川崎フロンターレと、過去に優勝、あるいは上位進出の経験がある、勝ち慣れたクラブが追ってきている状況は確かに不気味だ。背後に迫る影がまったく気にならないと言えばウソになるだろう。

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