名波浩が分析。対戦チームがレッズ独走を止める方法 (2ページ目)
この第24節では、レッズを勝ち点4差で追っていた2位の川崎フロンターレがFC東京と0-0で引き分けた。結果、フロンターレの勝ち点は44。勝ち点を50まで伸ばしたレッズとは勝ち点6差に広がった。正直、レッズが独走態勢に入ったと言っても過言ではないだろう。
なにしろ、レッズは選手層が厚い。守備のバランス、攻撃のバランスもいい。攻撃のスイッチがしっかり入るし、セットプレイからも得点ができる。攻守においてあらゆるものを兼ね備えていて、何ら不安要素は見当たらない。万が一、負傷などによって、攻撃の核となるMF柏木陽介や、ここ一番での勝負強さがある那須が欠けるようだと厳しいかもしれないが、それぞれ1、2試合不在になる程度なら、そのままレッズが頂点に立つ確率はかなり高い。
それでも、あえて不安点を挙げるならば、レッズは決して運動量が豊富なチームではないということ。つまり、ベガルタ仙台(第28節/10月18日)とか、サガン鳥栖(第33節/11月29日)とか、"走るチーム"が相手だと、手を焼くかもしれない。
おそらくレッズも、常にハードワークしてプレッシャーをかけてくるチームは嫌だと思う。そういう意味では、対戦相手としては、その点を意識することが大切。できることなら、1試合の中で一度、10分間くらいハイプレッシャーをかけ続ける時間帯を作りたい。そうすれば、レッズのボール扱いがいくらうまいといっても、どこかでミスが出る可能性がある。その隙をつければ、勝機が生まれるだろう。
あとは、レイソルがそうだったけれども、対戦相手がポジティブとかネガティブとか関係なく、レッズ対策をきちんとして"対レッズ仕様"のスタイルで戦うことができるかどうか。レイソルは、全体的に後方に構えて、2列目、最終ラインと守備のブロックをがっちり固めてレッズの攻撃を封鎖。相手くさびボールに素早く反応し、カウンターでチャンスをうかがっていた。FKから不用意な先制点を食らってバランスを崩してしまったが、あれがなければ、一方的な展開にはなっていなかっただろう。
そんなふうにして、今のレッズに勝つには対戦各チームが自分たちのサッカーの"色"に合わせたレッズ対策を講じることが重要。それがうまくはまれば、「ストップ・ザ・レッズ」は実現できるかもしれない。が、最も効果的だと考えられる、前からボールを追うスタイルが実践できるのは、先に挙げたベガルタとサガン、それと鹿島アントラーズ(第30節/10月26日)くらい。そう考えると、やはりレッズの優位は動かないのではないかと思う。
著者プロフィール
名波 浩 (ななみ・ひろし)
1972年11月28日生まれ。静岡県藤枝市出身。1995年、ジュビロ磐田に入団し一時代を築く。日本代表では10番を背負い初のW杯出場に貢献した。引退後は、ジュビロ磐田のアドバイザーを務めるとともに、テレビ朝日『やべっちF.C.』などサッカー解説者として活躍
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