2014.06.05

W杯直前。サッカーを取り巻くメディアはどうあるべきか

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 10年ほど前、中田英寿が欧州リーグで日本人がプレーするフィールドを開拓していき、小野伸二、高原直泰らの世代がそれに続いていった。2006年のドイツW杯後、海外に移籍する選手が少し減った時期もあったが、2010年の南アフリカW杯後、欧州リーグに移籍する日本人選手は再び増えていった。

 そしてW杯ブラジル大会が開幕する今、ミランに本田圭佑、インテルに長友佑都、マンUに香川真司と、ビッグクラブに所属する日本人選手がいる。さらに上の段階へと、レベルは着実に上がっていっている。

 私自身、いつかバロンドールを受賞する日本人が出てきてほしいと思っているが、20年前にそんなことを言ったら「何を言ってるの?」とバカにされただろう。しかし、今はそうではないはずだ。

 選手たちの成長や環境の変化を考えると、日本サッカー界は、確実に進歩している。メディアもまた、選手たちと同様に進歩していると思いたい。

練習後、メディアの取材に答える本田圭佑 今、W杯本番を控えて強化試合が続いているが、そこでの選手たちのプレーに対して、メディアはしっかりとした「評価」をしていくべきだと私は思っている。

 たとえば、欧州のメディアには、「ただ応援することだけが代表のためになるわけではない」という姿勢がしっかりとある。一番の目的は、自国の代表チームが強くなることであり、強くなるために、メディアはどう報道していくべきかを考えている。つまり、いいものはいい、悪いものは悪いと指摘することが、選手たちを成長させることだという考えが根付いているのだ。悪いところを見て見ぬふりをしていくと、それはその国の代表チームのサッカーにも表れてくる。

 ある試合でGKがミスをしたら、日本のメディアの場合「あのGKのミスで負けた」とはっきりとは言わないのではないだろうか。「彼ばかり言われてかわいそうだ」とか、「彼だけの問題じゃない」という意見もあるかもしれないが、そのミスをしっかり指摘するべきだろう。もし厳しい指摘を受けたそのGKがそこでつぶれてしまうなら、厳しいことを言うようだが、そこまでの選手ということだ。そこからまた這い上がってくるぐらいの強い人間でないと、プレッシャーのかかる日本代表でプレーすることはできない。こうした意見は、日本ではなかなか受け入れられない考え方なのかもしれないが、私はそう思っている。