2014.05.19

福田正博が読み解くW杯でのザッケローニの戦略

  ワールドカップブラジル大会の日本代表23人が決まった。

 年齢構成という点を考えたとき、ベテランばかりだと落ち着きすぎてしまい、若手が多いと、勢いはあるが、落ち着きがなくなる。選手として成長し、働き盛りとなるのが27歳前後なので、ザッケローニ監督は就任当初から常にバランスと言っているとおり、今回選んだ23人についても本田圭佑や長友佑都らを中心にバランスをとって選んだのだと思う。

23人中8人をFW登録として選んだザッケローニ監督 photo by Sano Miki これまでの選考の流れを考えると、2年間呼んでいなかった大久保嘉人が入った点はサプライズといえる。ただ、私は、前線の選手は調子のいい選手を入れるべきだとずっと思っているので、大久保は入るべき選手だったと思う。

 大久保は結果を出し続けて、自分の力で代表の座をもぎとったと言うべきだろう。昨年はJリーグ得点王になり、今季も好調を維持。代表メンバー発表直前のリーグ戦では2ゴールを決めた。ザッケローニ監督が求める複数ポジションもこなせる。

 何よりも気持ちをコントロールできるようになっている。川崎の風間八宏監督や、中村憲剛らチームメイトの影響もあるだろう。これまで、不必要な警告が多い印象のある選手だったが、昨シーズンもらったイエローカードは3枚のみ。さまざまなストレスがかかるなかで、自分を見失うことなくプレーして、自分自身にプレッシャーをかけすぎず、自分の力を出すことに集中できている。

 大久保以外の顔ぶれは、常連といえる。もちろん、伊野波雅彦ではなく塩谷司になった可能性もあるし、青山敏弘ではなく、細貝萌、中村憲剛という選考も十分ありえることだった。また、大久保ではなく、豊田陽平、工藤壮人を選ぶこともザッケローニ監督は考えていたかもしれない。

 今回、豊田を入れなかったということは、攻撃での「高さ」を捨てたということ。世界の強豪と戦うために、高さ、強さで互角に近い勝負はできても、上回ることはほとんどできない。日本の武器になるものが何かを考え、機動力とパスを主体とした地上戦、コンビネーション、ハードワークを続ける運動量、パスワークで勝負するという監督の決意の表れと見ていい。パワープレーには頼らず、どんな状況でも、これまで積み上げてきたスタイルを貫くということだ。