福田正博が考える「浦和の広島化」の問題点 (4ページ目)
だからこそ、今年、優勝という結果が出なければ、クラブは非常に厳しい立場に立たされることになる。そういう意味で、今シーズンは「背水の陣」。常に勝たなくてはいけないというプレッシャーにさらされる状況にある。そこまでの重圧の中でやれる選手が何人いるか。その覚悟を、ペトロビッチ監督は持っているかもしれないが、クラブ全体としてどこまでその覚悟をしているか。浦和というクラブの幹部、スタッフ全員にとっても、正念場のシーズンだと思う。
ペトロビッチ監督の攻撃的なサッカーは、1点を守り切るというサッカーではない。課題は、守備にある。GK西川が、「試合数より少ない失点数でシーズンを終えることが目標のひとつ」と言っていたように、失点を減らすことが必要だ。
世界中で、守備をおろそかにしているチームが優勝することは、ほとんどない。バルセロナは、ポゼッション率を徹底的に高めて、攻撃を続けて守備の時間を少なくすることで失点を減らしているが、そのバルサにしても、グアルディオラ監督が就任して、攻守の切り替えを速くして相手にプレスをかけ、守備が整ってさらに強くなった。
日本代表GKの西川が加入したとはいえ、守備はGKだけの問題ではないので、すべての選手が意識しているはずだ。浦和は、守備に関してはポジショニングがいい加減なところがまだある。それを修正していくことは、多少時間はかかるだろうが、チームとして対応していってほしい。
ペトロビッチ体制の浦和が優勝できるか、そして、今のスタイルが浦和の伝統として続いていくのか、これが今シーズンこれからの注目ポイントだ。
著者プロフィール
福田正博 (ふくだ・まさひろ)
1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。
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