セレッソ沈黙。読み取れなかった「フォルランからのメッセージ」

  • text by Sportiva
  • photo by Yamazoe Toshio

名波浩の視点

 Jリーグ2014年シーズンが開幕。フォルランが加入したセレッソ大阪と、3連覇を狙う「王者」サンフレッチェ広島という注目の一戦は、1-0でサンフレッチェが勝利した。選手の誰もがやるべきことをわかっていて、戦術浸透度が高いサンフレッチェ。チームの"円熟味"という部分で勝っていたように思う。

J開幕戦では不発に終わったフォルラン。J開幕戦では不発に終わったフォルラン。 さて、日本代表FWの柿谷曜一朗をはじめ、MFの山口蛍や南野拓実など、若きタレントが豊富にそろう中、ウルグアイ代表FWのフォルランが加入。戦前から脚光を浴びていたセレッソだが、攻撃はまだ機能していなかった。フォルランが味方選手の特徴を完全に把握していないとか、体調が万全ではないということがあるにせよ、前線に入るボールのタイミングが悪いし、選手がスムーズに連動していくような形もあまり見られなかった。

 開幕戦ということもあって、手堅くゲームに入っていったこと自体は悪くない。しかし、その気持ちが少し強過ぎたように感じた。今季のセレッソは「史上最攻」というスローガンを掲げているように、かなり攻撃力を秘めたチームだと思う。ならば、どこかでリスクを冒して仕掛けていくべきだった。

 特に2ボランチの山口と扇原貴宏から、意図のあるタテパスが入ることが少なかった。ともにボールを何度か切り返して、相手をいなしてから横パスやサイドへ展開することが多く、攻撃のスイッチとなるパスを前線に入れて、そこからチャンスが生まれるというシーンはほとんどなかった。90分間の中で、2回くらいあったかな、という印象だ。

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