今季最初のタイトルを手にした広島の「新たなスタイル」とは?
新たなシーズンの到来を告げるゼロックス・スーパーカップが2月22日、東京・国立競技場で行なわれ、昨季のJ1王者サンフレッチェ広島が天皇杯王者の横浜F・マリノスを2-0で破り、今季最初のタイトルを手にした。
ゼロックス・スーパーカップを制した昨シーズンの王者・広島
主役は19歳のふたりだった。
ひとり目は、MF野津田岳人。大舞台での先発起用には「ビックリした」と苦笑したが、開始わずか6分で先制ゴールを決め、試合の流れを大きく広島に引き寄せた。殊勲のレフティは言う。
「(佐藤)寿人さんが前でつぶれてくれたので、僕はフリーで決めるだけ。練習で何度もやっている形だった」
さらに野津田は66分、自らドリブルでボールを持ち出し、絶妙のタイミングで前線へスルーパスを送る。本人が「(利き足ではない)右足だったけど、うまくパスを通せてよかった」と語るチャンスをものにしたのは、ふたり目の19歳、FW浅野拓磨だ。
快足を飛ばしてDFラインの裏へ飛び出した浅野は「いいボールが来たので止める必要はない」と、ワンタッチでシュート。勝負を決定づける追加点を奪った。
ワンタッチゴールの名手である先輩FW、佐藤を彷彿させる鮮やかなゴールに、昨季リーグ戦でわずか1試合8分間しかプレイしていない新鋭FWは笑顔で語る。
「(佐藤の)動きを見て勉強しているし、いいところをどんどん盗んで自分のものにしていきたい」
19歳の選手がこれだけの活躍を見せてくれれば、指揮官の口が滑らかになるのも当然だった。広島の森保一監督が、起用に応えたふたりを称える。
「彼らはトップチーム(レギュラー組)でプレイできるだけのものをトレーニングで見せていたので使った。攻守ともにいいプレイを見せてくれた」
突然にも見える19歳コンビのブレイク。だが、実は彼らの活躍には伏線があった。今季からキャプテンを務めるMF青山敏弘が明かす。
「(横浜FMに)天皇杯決勝で負けた後のロッカールームで、監督は『お前ら、誰と代わったか分かっているか』とふたりに言っていたんです」
1 / 3