17年の現役生活に幕。いま北嶋秀朗の胸に去来するもの (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 松岡健三郎/アフロ●写真

「今後の道ですか? 自分の中では決めていますよ。もうすぐ発表できると思います。すごく楽しみですね!」

 そう言って目を輝かせた北嶋は、再び革靴を履き、髪を撫で、落ち着いた感じの上着を羽織った。

「Jリーグアウォーズでは、(2011年に)柏レイソルの選手みんなで壇上に上がれたのが、いい思い出でしたね(優勝チームだけが選手全員で壇上に立つ栄誉を得る)。華やかな舞台で、レイソルが主役、みんなで勝ち取った主役だったんです。あれは最高の気分でしたよ」

 北嶋は回想に耽(ひた)った。彼が仲間に深く愛される理由。それは彼自身が無私の人であり、なんの作為もなく仲間を愛せるからなのだろう。その純粋さは、故・松田直樹らにも共通する点で、人を惹き付けて止まない。そして、彼らのような爽やかな男たちがいる集団は強いものだ。かつてミスターレイソルと呼ばれた男は、そういう仕事を指導者としてやっていくことになるだろう。

 もう一つのサッカー人生が始まる。それは、終わりのない旅になるに違いない。

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