レッズ、7年ぶりの栄冠へ。原口元気に託された「任務」 (3ページ目)

  • 小齋秀樹●文 text by Kosai Hideki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 11月2日に行なわれたナビスコカップ決勝戦、レッズは柏レイソルに0-1で敗れた。原口は自身初となるタイトルを目指しながら、その夢は叶わなかった。試合後、辺りを憚(はばか)ることなく号泣した。

「最後の個人のところで崩し切れなかった。自分の力のなさを改めて感じました」

 MF阿部勇樹に決定機をお膳立てした場面はあったものの、自身のシュート数は0本で終わった原口。決勝戦翌日、悔しさを滲(にじ)ませながらそう語った。

 前半終了間際に先制点を許して、守備を固められる展開だったとはいえ、「そういう状況で、点を取ったり、(相手を)崩したりするのが、自分が求められているものだと思うので、自分の仕事ができなかったです」と、自らを断じた。

 容易には拭(ぬぐ)えない悔しさにまみれたが、幸いなのは、まだリーグ戦のタイトルに可能性があることだ。首位の横浜F・マリノスとの勝ち点差はわずかに「2」。4試合あれば、逆転の目は大いにある。

 原口は語る。

「あと4試合、自分の存在意義、(試合に)出ている意味を明確にするためにも、チームが苦しいときに点を取れるようにしたい。それだけの仕事ができるように努力していきたい」

 下部組織時代から大きな期待を託されてきた"才能"は、壁にぶち当たるごとに成長し、今季、大きな花を開こうとしている。リーグ戦の残り4試合、再び味わった屈辱をバネにして、大仕事を成し得れば、原口は「エース」への階段をまた一歩のぼることができるだろう。

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