【Jリーグ】2ステージ制導入前に言っておきたいこと

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke photo by Getty Images

 スポルティーバでは前回掲載した「2ステージ制復活案の是非。識者はどう見ているのか」というコラムで、14人の識者にアンケートを実施し、その是非を議論した。その後、Jリーグは9月17日、2004年以来となる2ステージ制の復活を発表。2015年度より、これまでの「1ステージ制」から、「前・後期の2ステージ+プレイオフ制」を採用することになった。その内容とは、18チームが前期と後期、17試合ずつ戦って順位を競い、前期1位チームと後期2位チーム、後期1位チームと前期2位チームに分かれて「スーパーステージ」というノックアウト方式(一発勝負)のトーナメント戦を行なう。そして、その勝者と年間最多勝ち点チームが、「チャンピオンシップ」で年間王者を争うことになるのだ。

21年目を迎えたJリーグ。これからどんな発展を見せていくのだろうか21年目を迎えたJリーグ。これからどんな発展を見せていくのだろうか だが、現状で発表されている内容では、今後、多くの問題が噴出する可能性がある。例えば、前期で1位や2位に入ったチームが後期でも1位もしくは2位になった場合、プレイオフで重複したチームをどうするのかといった詳細は、まだ未決定だ。プレイオフに駒を進める可能性があるのは最多で5チームだが、重複した場合、現状では最少2チームになる。また、日本のクラブがアジアチャンピオンズリーグ(ACL)に出場できる条件は「Jリーグの1位~3位&天皇杯優勝チーム」とされているが、新制度でのACL出場チームの決定方法や、J2への降格基準についても決まっていない。Jリーグは「決まり次第の発表」としているが、識者はどう考えているのだろうか。あわせて、Jリーグが今後発展を遂げていくためのアイディアも語ってもらった。

中山淳氏(サッカージャーナリスト)
「優勝賞金5億円を出し、デル・ピエロの獲得を!」

「プレイオフに進出するチームが重なった場合、年間の総勝ち点で上位のチームが穴を埋めればいいと思います。セカンドステージで3位に入ったとしても、ファーストステージでは10位だった可能性もあります。そういうチームをスーパーステージに繰り上げるのはどうかと思いますし、見ているほうも年間勝ち点のほうが分かりやすいじゃないですか。また、ACLの出場権は、チャンピオンシップで勝ったチームに1枠。残りは年間勝ち点で決めるべきです。前・後期優勝チームにACL出場権を1枠ずつ与えると、重なった場合に議論になりますからね。また、降格も年間勝ち点で決める方式がいいと思います。

 Jリーグは今回のプレイオフ採用で10億円の収入を見込んでいて、広告宣伝費と育成費に使用するつもりです。でも、その収入はクラブに還元するべきですよ。チャンピオンシップの優勝チームに賞金5億円、負けたチームには2億円を出し、残り3億円をJリーグが使えばいい。優勝チームが5億円をもらえるとなれば、そのお金でデル・ピエロのような世界的スターを年俸2億円の1年契約で連れてくることができます。Jリーグが今回、2ステージ制を採用する目的は『ライト層のファン開拓』ですが、例えばの話、デル・ピエロの獲得はそこにつながっていきます。スタジアムにお客さんを呼べるし、メディアでの露出も増えるでしょうからね。世界的スターの参戦は何より、夢があるじゃないですか」

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