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藤田俊哉×名波浩が検証「大宮が躍進し、磐田が低迷したワケ」

  • 小室 功●構成 text by Komuro Isao
  • 山添敏央、益田佑一●撮影 photo by Yamazoe Toshio,Masuda Yuichi

藤田俊哉×名波浩が分析する
2013年Jリーグの情景(1)

開幕20周年を迎えたJリーグ。中断前の第13節を終えた時点で首位に立ったのは、意外にも大宮アルディージャだった。昨季の第24節から21試合負けなしというJリーグ不敗記録を作るなど、快進撃を見せた。一方で、思わぬ不振に陥ったのが、ジュビロ磐田。開幕から7試合勝ち星なしというクラブワースト記録を更新するなど17位に低迷している。そこで今回は、リーグ再開を前にして、明暗分けた2クラブについて、解説者の藤田俊哉氏と名波浩氏が検証。さらに今後のリーグ戦の行方も占ってもらった。

高い守備力を武器にして首位に立った大宮。第7節の浦和戦でも粘り強い守りを披露して1-0で勝利した。高い守備力を武器にして首位に立った大宮。第7節の浦和戦でも粘り強い守りを披露して1-0で勝利した。
――まずは、中断前までのリーグ戦を振り返ってほしいと思います。第13節終了時点で2位の浦和レッズに勝ち点5差をつけて首位に立っているのは、毎年のように残留争いをしていた大宮アルディージャです。まさに前半戦最大のサプライズと言える、大宮の躍進をどう見ていますか。

藤田
 大宮の躍進ぶりは、確かにすごい。この間、(大宮の)練習場に行ったんだけど、クラブを取り巻く環境が整ってきていて、すごくいい雰囲気だった。結果を出しているし、チームに勢いがあるよね。

名波(躍進した理由は)戦術的に、ディフェンス面が整備されているのが、ひとつ。センターバックの菊地光将と高橋祥平の関係性がいいし、ボランチの金澤慎と青木拓矢も含め、真ん中の守備が安定している。あとは、これまでのように引いて守るのではなくて、全体的に(ラインが)ワンブロック上がった。前からの守備が浸透していて、チームとしての戦い方がかなり明確だよね。

藤田 守備はもちろんのこと、ズラタンとノヴァコヴィッチの2トップがとにかくいいよ。簡単に言えば、みんなで守って、そのふたりのFWに託す、というやり方だけど、それが徹底されている。あそこまで(戦い方が)はっきりしていたら、選手は迷わないと思う。

名波 ズラタン、ノヴァコヴィッチの2トップは、このチームに本当にうまくはまったよね。そのうえで、控え(FW)にも長谷川悠と新人の富山貴光がいる。特に富山はいいところで点を決めているし、攻撃の流れは相当いいと思う。

藤田 2トップが強烈だし、攻撃力がアップしたのは、これまでとは大きな違いだよ。

名波 そう、それが今年の成績につながっている。4-0で勝ったアウェーの柏レイソル戦(第8節/4月26日)でも、粘りのある守りで凌(しの)いで、そこからボールを奪って仕掛けていくと、ほとんどシュートまで持ち込んでいた。そういう力が、今年はついてきた。昨季までは守っていても、なかなか攻撃に出られないし、点も取れなかった。だから、ずっと残留争いをしてきた。

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