2013.03.07

【日本代表】
ベンチワークから考えるザッケローニ監督のマネジメント能力

次のヨルダン戦に勝利すればW杯ブラジル大会の出場権を獲得するザックジャパン photo by Getty Images福田正博 フォーメーション進化論 vol.37

 サッカーのプロクラブの場合、登録選手数が多いので、紅白戦をやっても試合に出られない選手が出てくるケースがある。出場できない選手は言ってみれば蚊帳(かや)の外だ。こうした、トップに残れるかどうかの選手をどう扱うか、どう接するかは、監督にとって難しい仕事だ。

 たとえば、バルセロナは1シーズン通して18人ぐらいで回している。ヨーロッパではトップチーム以外の選手は不要と判断するケースが多い。なぜかというと、控えメンバーが不満ばかり持って、チームがひとつになることの足を引っ張る可能性があるからだ。チームのムードが悪くなることを避けるのは、監督として当たり前のことだろう。

 昨年、広島の森保一監督に話を聞いたとき、そういう当落線上の選手を、ケガをした主力の代わりにトップチームに招集したら、『よっしゃ、チャンスが来た!』と喜んで練習に入ってきたといい、それが「すごくうれしかった」と言っていた。腐ることなくトレーニングを続け、練習に合流して懸命にやってくれたと。これは監督の本心だと思う。そのぐらい控え選手のマネジメントは大変で、監督は気をつかっている。

 監督としては、本当は全員を試合で使ってやりたい。だがそこは、勝負のために決断をしなければならない。つまり、勝つためのメンバーを選ばなくてはいけない。そうかといって、控えメンバーを無視もできない。ベンチに入れない選手達がチームの雰囲気をつくる側面もあるからだ。

 日本が2011年のアジアカップで優勝した後、帰国した成田空港で、出場機会のなかった森脇良太と権田修一が優勝カップを持っていた。ザッケローニ監督は「彼らがチームの雰囲気を良くしてくれた」と言って、ふたりに優勝カップを持たせていたが、それが象徴的だろう。

 ザッケローニ監督はセリエAのミラン、ユベントス、インテルを率いていた経験のある監督なので、そうした選手のマネジメントを非常に繊細に考えているという印象が強い。スーパースターが多いクラブチームで監督をやっていたので、今も控えメンバーの扱いには相当神経を使っているのではないか。