【Jリーグ】2012年シーズン、名波浩が選ぶ「ベスト11」 (2ページ目)

  • 山添敏央、佐野美樹●撮影 photo by Yamazoe Toshio,Sano Miki

今季、急成長を遂げた広島の高萩洋次郎。今季、急成長を遂げた広島の高萩洋次郎。MF
青山敏弘(サンフレッチェ広島)
阿部勇樹(浦和レッズ)
中村憲剛(川崎フロンターレ)
高萩洋次郎(サンフレッチェ広島)

 初タイトルを手にした広島の攻守のつなぎ役を果たしたのが、青山敏弘。彼が相手にとって危険なエリアに入ってボール受け、攻撃のスイッチとなるパスを前線に配球していた。そのスイッチを入れるパスが、非常にメッセージ性の強いパスだったため、前線でトライアングルを形成する3選手に適切に伝わって、さらにサイドの選手もうまく呼応できていた。その様は、まるでテレビゲームのようなスムーズさがあった。

 忘れてはならないのは、青山がそうした役割を果たせたのも、泣く泣くMF部門の次点とさせてもらった森崎和幸のサポートがあったから。森崎の献身的な動きを含めて、ふたりの連係は本当に素晴らしかったと思う。

 今季3位になった浦和の躍進は、海外帰りの阿部勇樹の存在なくして語れない。まず、守備ではボールアプローチが圧巻だった。そのうえで、味方にアプローチに行かせて自分はカバーリングに回ったり、自分が行ったら周囲の選手にサポートさせたり、人をうまく使えるようになっていた。攻撃面では、もともと持ち合わせていたパススピードに加え、タテパスの意識が非常に高くなっていた。前に仕掛けるのが好きな選手が多い浦和で、その阿部のパスは攻撃の勢いを一層駆り立てていた。リーダーシップも含めて、浦和が結果を残せたのは、阿部の功績がかなり大きいと思う。

 中村憲剛高萩洋次郎は、決定機の演出回数の多さが群を抜いている。中村が5得点、高萩は4得点とそれぞれゴールを記録しながら、アシスト数も中村がリーグ1位の13本、高萩がリーグ2位の12本と、その数字だけでも十分に評価できる(データ提供/データスタジアム㈱)。加えて、ふたりともゲームをコントロールする力があって、意外性のあるプレイが光っていた。

 ともあれ、フロンターレの"顔"である中村の活躍は予想どおりだったけれども、高萩の飛躍はちょっとしたサプライズだった。これまでは好不調の波のある選手だと思っていたが、昨季の終盤から"芯"が入ったというか、ピッチ上での風格が増した。シーズンを通してハイパフォーマンスで奮闘し、優勝を決めたセレッソ大阪戦で先制ゴールを決めるなど、いい仕事をする選手になったと思う。

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