【日本代表】「ゼロトップ」はザックジャパンのオプションになりうるか?

  • photo by YUTAKA/AFLO SPORT

ブラジルとの親善試合でトップの位置に入った本田圭佑ブラジルとの親善試合でトップの位置に入った本田圭佑
フォーメーション進化論 vol.30

 ザックジャパンは欧州遠征のブラジル戦で、4-2-3-1のワントップに本田圭佑が入るシステムで戦い、多くの報道で「ゼロトップ」という表現がされていた。

 このゼロトップの場合、なるべく相手を押し込みたいということが前提としてある。相手を意図的に自陣に引きこんでカウンターをするサッカーではなくて、より相手陣内に押し込んで、人数をかけてパスを回して崩していくサッカーが狙いだ。

 本田をトップに置いたということは、スペイン代表がセスク・ファブレガス(バルセロナ)をトップで起用したスタイルに近いのかなと思う。セスクも本田も本職はFWではない選手。だからゼロトップという言い方にはなるが、本田のワントップという見方もできる。単なる言葉の問題であって、プレイの内容としては、ワントップの選手が比較的自由に動くシステムという言い方もできる。

 前線の中央に常にFWがいるとターゲットになってパスを入れやすい。だが、前線で張っていると相手DFにつかまりやすいということでもある。結果、マンツーマンでタイトにマークされると、イブラヒモビッチやドログバのような屈強な選手でないかぎり、プレイが難しくなる。そのため、トップの位置の選手ができる限り接触プレイを避けて左右に流れたり、下がってボールを受けたりするのがゼロトップということになる。そして、空いたトップのスペースには、周囲の選手が次々に入ってくる。本田の役割としては、別にトップで張っている必要はないということだ。それがゼロトップの特徴のひとつといえる。

 トップと周囲の選手が動き回って、ボールを動かしながら中央のスペースに入れ代わり立ち代わり入っていく。つまり、ポジションチェンジが頻繁ということだ。非常にいい距離感を保ちながら連動ができないと機能しないシステムでもある。

 相手の守備ブロックの間に侵入する選手が何人もいるので流動性が出て、相手の守備陣形を崩す動きがより増えることになる。また、相手DFにとってはアタッカーを捕まえづらくなるので、誰をマークすればいいのか混乱するだろう。

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る