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【名波浩の視点】4位に浮上した清水のサッカーが劇的に変わった (2ページ目)

  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 そのプレッシャーをかける位置が、両ボランチを含めて非常に高く、前線の選手との距離間が近かったのも良かった。加えて、地味ながらもトップ下の位置に入っていた八反田が、ボランチふたりが飛び出したあとの、カバーリング意識をしっかり持っていた。そうした中央のタテ関係は非常にスムーズで、昨年から探していたであろう村松のパートナーも杉山という適任者が生まれ、今後のエスパルスを支えるメンバー構成が今回確立したように見えた。

 ジュビロも、エスパルスが仕掛けてきたハードワークするサッカーに呼応しつつ、そのうえで自分たちのつなぐサッカーを展開しようと試みていたけれども、エスパルスのハイプレッシャーに怖さを感じているようなミスが目立った。特に前半はそうしたミスの数が多くて、受け身に回ってしまった。

 そんなふうにして、守備重視の、狙いをはっきりとした戦いでジュビロを下したエスパルス。今季のJリーグのようにどこが勝ってもおかしくない状況の中では、こういう戦い方をするんだ、という強みを持っているチームが勝ち点を積み上げることができる。エスパルスは、その形をこの試合で示したように思う。そういう意味では、結果を出していくために腹をくくったんだな、と感じた。

 そこで、今後ポイントになるのは、やはり両ボランチの働き。このままハードワークを続けられるか、そしてセカンドボールを拾い続けられるか、ということが大事になる。

 そして、課題になるのは攻撃面。この試合でも後半はシュート1本しか記録されていない。今シーズン、エスパルスのボールポゼッション率はリーグでもかなり高い数字を残している。にもかかわらず、得点数は34点でリーグ13位。相手にボールを回させられているのか、自分たちがただボールを回しているだけなのかわからないが、ポゼッション率の高さを生かして、よりゴールを意識することが大切になる。そのためにも、センターFWの金賢聖などは、点を奪えるポジション取りを心掛けていくべきだろう。

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