【Jリーグ】仙台との天王山を快勝。広島が手にした王者としての「資格」 (2ページ目)

  • 原田大輔●文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 時を経て、2012年Jリーグ第25節。舞台は、首位ベガルタ仙台をホームに迎えての"天王山"。勝てば再び首位に返り咲ける試合で、広島は追いつかれた。前半を0-0で終えた後半、48分に森﨑和幸のミドルシュートで先制しながら、70分に警戒していたサイド攻撃から赤嶺真吾にヘディングシュートを決められた。

 しかし、今年の広島は違った。同点に追いつかれたときの精神状態を森﨑和幸はこう振り返る。
「確かに追いつかれたことはショックでしたけど、まだ同点になっただけだって思いましたね」

 今季初のフル出場を果たした森﨑浩司も、「うちは勝たなければ首位に返り咲くことはできないので、同点に追いつかれたあとも、前へ前へという意識がチーム全体にあった。それが得点につながった」と語る。

 広島はそこから巻き返した。同点にされても失意や落胆などはなく、ありきたりな言葉ではあるが、闘志が漲(みなぎ)っていた。仙台が狙いとするサイド攻撃から押し込まれる時間帯もあったものの、逆にそのサイド攻撃から再びリードに成功する。

 78分、左アウトサイドの清水航平が駆け上がり、切り返してクロス。これはファーサイドに流れるも、右アウトサイドの石川大徳が拾って再びゴール前へ入れると、GKが弾いたボールに髙萩洋次郎が反応して鮮やかなボレーシュート。2-1と勝ち越して、仙台を振り切った。

 ここ最近はホームで連敗し(第20節1-2清水、第23節0-1FC東京)、9月8日にも天皇杯2回戦で地域リーグのFC今治にまさかの敗戦を喫していた。そうした危機的状況が、選手たちを今一度奮い立たせた。仙台戦に向けた練習では激しく削り合うなど、チームには明るくもほどよい緊張感が漂っていた。

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