【Jリーグ】ガンバが危ない。過去に開幕2連敗したチームの不吉なデータ (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Getty Images

 にもかかわらず、ヴィッセル戦に敗れたあと、「あの試合はなんだ。プロとして恥ずかしくないのか」と選手たちを叱責した。本来なら気持ちを切り替え、次戦に向けて戦うムードを高めることが重要なはずだが、2時間近くも反省ミーティングを実施するなど、指揮官らの一方通行的なやり方が目立つ。

 結果が出ない中、「そういうミーティングがいい影響を与えるわけない」と、多くの選手が溜息をついたように、監督&コーチと選手との信頼関係も損なわれつつある。

 こうした状況の中でいちばん恐いのは、チームのスタイルを根本的に変えてしまうことだ。ガンバはいい攻撃がいい守備のリズムを生むという、稀有な特性を持つチーム。だが、失点が多いゆえ、守備的なサッカーなどにシフトしてしまったら、それこそチームは混乱し、10年かけて築き上げた"ガンバ・スタイル"までも崩壊させてしまうことになりかねない。

 もちろん、指揮官が目指すサッカーが明確にあればいいのだが、そうした方向性が見えないまま、淡々と敗戦を重ねている。このままでは、昨季残留争いに加わった浦和レッズのような憂き目に合う可能性も十分にある。

 1シーズン制になった2005年以降、開幕2連敗したのは、14チームある。そのうち、10チームが残留争いに陥り、ふた桁順位に終わっている。そして、2006年のセレッソをはじめ、5チームがJ2に降格しているのだ。

 2007年に唯一、鹿島アントラーズが例外的に優勝しているが、今のガンバは、そんな淡い期待を抱けるようなチーム状態ではない。「このままでは、危ない」と、加地亮が語るように、崖っ淵に追い込まれつつあるのだ。

 橋本英郎、山口智らベテランをはじめ、下平匠など有望な若手を放出。西野監督を解任し、これまで以上のチーム作りを新監督と新コーチに託したフロントは、今のところ事態を静観している。だが、すでに"次の一手"を考える時期に来ているのではないだろうか。このまま結果が出ず、いたずらに我慢を続ければ、ガンバらしささえも失い、取り返しのつかないことになるだろう。

 3月25日のジュビロ磐田戦、ガンバにとっては、今後を占う大一番になる。

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