【Jリーグ】移籍の収支決算。補強に成功したチーム、ベスト3は?
日本代表メンバーをはじめ、長年チームの顔だった大物選手の移籍もあり、例年以上の賑わいを見せた今オフの移籍市場。どこがいちばん効果的な補強に成功したのか。逆に、厳しい状況に陥ったチームはどこか。各クラブの新戦力をもとに、2012年シーズンの上がり目チームを、解説者の名波浩氏が診断する。
阿部勇樹の獲得に成功した浦和レッズ。攻守の要となる人材を得て、今季の躍進が期待される。
2012年シーズン
上がり目ランキング
1位:浦和レッズ
昨季の順位(15位)より確実にアップするのは、浦和レッズだろう。欧州のクラブに在籍していた阿部勇樹(レスター/イングランド)と槙野智章(ケルン/ドイツ)を獲得。指揮官に昨季までサンフレッチェ広島を率いていたミハイロ・ペトロヴィッチ監督を迎え、彼の攻撃的なサッカーを実践するうえで、格好の補強ができた。
槙野は、柏木陽介とともにペトロヴィッチ・スタイルの「伝道師」的な役割を果たすとともに、攻守両面でベースアップが期待できる選手。特に攻撃では、積極的な攻撃参加とセットプレイのターゲットとして、チームの得点力アップに貢献するはずだ。
そして、阿部が入ったことでゲームが締まるのは間違いない。おそらくポジションは3-6-1布陣の、最終ライン「3」の真ん中。堅実な守備力には定評があり、攻撃でも効果的なくさびのパスを出せるし、機を見て前線に自らボールを運ぶこともできる。新たなレッズサッカーのキーマンであり、彼の存在がチームに安定感をもたらしてくれるだろう。
レッズはもともと人材が豊富で、原口元気、山田直輝、濱田水輝、高橋峻希、小島秀仁など、各ポジションに五輪代表クラスの活きのいい面々がズラリ。彼らが阿部や槙野とうまく融合すれば、かなりいいチームになりそうだ。
唯一、気になるのは、レッズには「佐藤寿人」がいないこと。つまり、敵の守備網をこじ開ける選手はたくさんいるけれども、確実にゴールを決められるフィニッシャーがいない。おそらく上半分(9位以内)には入れると思うが、そこからさらに上半分(4~5位)を狙うには、その穴をどう埋めるかがカギになる。
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