【福田正博】横浜マリノスの武器は伝統の強固な守備とセットプレイ (2ページ目)

  • photo by Tokuhara Takamoto/AFLO

前線は流動的だったが、守備陣を中心にほぼ不動のメンバーだった2011年前線は流動的だったが、守備陣を中心にほぼ不動のメンバーだった2011年

 2011年はシーズンを通して、メンバーをほぼ固定していたが、FWだけは流動的だった。大黒将志、渡辺千真、小野裕二の誰かを起用し、シーズン終盤は谷口博之がFWとして出場することもあった。昨年はこの谷口の加入が一番大きな変化で、彼がどこのポジションになるかで、多少のフォーメーションの変化もあった。

 基本となるフォーメーションは4-4-2。中盤がほぼフラットに並ぶときと、谷口がトップ下になるとボックス(菱形)になることもあったが、これは対戦相手に応じて使い分けていたのだと思う。相手をリスペクトして、相手のやり方に合わせて、分析したうえでのフォーメーションで、何よりも自分たちのスタイルを最優先していた2010年とはそこでも変化があった。

 まずは俊輔のところにボールが集まって展開していくことが多く、そこからサイド、または相手DFの裏を狙うロングレンジのパスでチャンスをつくっていた。中心選手である俊輔は、自分が輝くというより、チームのために何ができるのかを意識してプレイしているのだと思う。ボックスの中にはあまり積極的に入らないコンタクトを避けるプレイスタイルで、周囲を生かすためにどうするかを常に考えているように見える。

 昨年のマリノスは守備の位置が高いこともなく、どちらかといえば自陣の低い位置で相手を待ち構える守備をして、そこでボールを奪うスタイルだった。そのため、奪ったらすぐに手数をかけないでシンプルに攻めるか、リスタートでゴールを狙うことがほとんど。とくに、FWに大黒がいる場合、彼はDFラインの裏に抜け出すプレイが多いので俊輔がボールを持つと裏のスペースを狙うロングボールのパスが出る傾向が強かった。

 守備に関しては、GKの飯倉大樹の成長が目を引いた。非常に落ち着いてプレイしていたと思うし、周囲へのコーチングも含めてどっしりしてきた印象だ。それまでは味方のDFに怒声をとばしているシーンが目についたが、昨シーズンはそうした局面も減っていた。

 守備についてはほかに、中盤の小椋祥平、兵藤慎剛がポイントになっていた。このふたりが最終ラインの前でフィルターの役割を果たすことで、CB③④の負担が軽減され守備に安定感をもたらしていた。
 

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