サッカー日本代表の「即席4バック」はなぜ機能しなかったか 森保監督はサイドバックを甘く見ている (3ページ目)
【いかに論理的に外から崩していくか】
左サイドの鈴木と前田。そもそもこのふたりにコンビネーションプレーを期待することは難しい。前田は強者相手のプレッシング要員としては文句なしだが、ショートパスで崩す遅攻には向いていない。下支え役の鈴木もプレーの選択肢は少ない。
左の鈴木は2度、そして右の中野も1度、現代サッカーにおいてはあり得ない前時代的なクロスボールを送り込んでいる。世界のトップチームは絶対にやらないタイミングで、自らの責任を放棄するようなボヨヨンとしたクロスを、だ。「ワールドカップ優勝」を口にする森保監督だが、こうしたプレーを発生させる限り、ワールドカップの決勝トーナメントでは1勝さえもできないだろう。
「日本は我々の守備陣の裏を突く深い攻撃ができていなかった。少なくとも1-1で推移した後半26分までは、日本の攻撃は混乱していた」とは、ニュージーランドのダレン・ベイズリー監督が残したコメントだが、けっして強がりには聞こえなかった。
日本のボール支配率は69%を記録したが、その割に、深い攻撃の象徴であり、ゴールの近道と呼ばれるマイナスの折り返しは少なかった。交代で入った中村敬斗が幾度かライン際から折り返し、堂安の決勝ゴールはその産物だった。だが個人任せ、勢い任せではなく、チームとして意図的にそこを突く姿勢がないと、強豪には立ち向かえない。
目指すべきはサイドに中盤があるサッカーだ。いかに論理的に外から崩していくか。出たとこ勝負の感覚的サッカーでは、相手が日本選手の巧緻性に目が慣れると、攻めあぐねるのは目に見えている。
試合後の森保監督の口ぶりからは、残された最大9試合を4バックメインで戦っていくものと推測されるが、だとすればSBを何人か加える必要がある。一度切った人材を再登用するのか、新しく見つけ出すのか。
今回のメンバーのまま4バックサッカーに移行すると危ない。筆者はそう見ている。
著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2026年北中米大会で12回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
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