サッカー日本代表の構造的欠陥を覆い隠した攻撃陣 塩貝健人「これで喜んでいる場合じゃない」 (3ページ目)
【塩貝健人がみなぎらせた野心】
森保ジャパンのシステムは、敵を押し込んで前に人数をかけられると強みが出る。ブラジル戦のように腰が引けなかったのは評価に値した。決定機を作られながらも、殴り合いで相手をノックアウトできる攻撃力を見せていた。86分、途中出場の上田が久保のスルーパスからの決定機を外すが、これが伏線になった。
「いろんな声が届いていました。ワールドカップもいろんなことがあったから、『僕の1点で黙らせる』という決意もあって......」
北中米ワールドカップで苦い経験を味わった塩貝健人はそう明かすが、終盤に投入されると牙をむいた。アディショナルタイムに伊東、上田とつないだパスを右で受け、そのままGKを抜く一撃を決めたシーンは迷いがなかった。
「僕の(ものを言う)スタイルは、結果が出ないと批判が出るのはわかっています。でもトップに行くにはこれが必要で、変えるつもりもありません。結果が出ない時でも目標は常に高く。(決勝点になった)この1点は大きいですが、満足していないですし、上田選手が3点目を決めて涼しい表情だったんで、僕もこれで喜んでいる場合じゃないなと」
塩貝は、ストライカー特有の野心をみなぎらせていた。人材がいないわけではない。主力組はあらためて力を見せた。若い塩貝も殊勲者になった。
反面、チームの構造的欠陥は変わっていない。
攻撃は手数をかけられれば有効だが、その律動を強豪相手に90分間は維持できない。この日、日本が巻き返せたのは、ウルグアイに長旅やアウェーの疲れが出て動きが鈍くなり、引き分け狙いになったのが多分にあった(前田大然を完封していたロナルド・アラウホが交代したことも影響した)。親善試合では帳尻を合わせても、もっと強い相手との激しい真剣勝負になると、ほぼ必ず守備で欠陥が顔を出す。
これは構造の問題で、この試合をもって今後に希望を託せるかという話ではない。同じことの繰り返しだ。
9月28日、森保ジャパンはベネズエラと戦う。
著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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