サッカー日本代表のよさも悪さも出たスウェーデン戦 堂安律は「こっからワールドカップが始まります!」 (3ページ目)
「負けるよりは引き分けでよかったんですが、やっぱり勝ちにいきたかったですね」
今大会で切り札になっている伊東純也は、スウェーデン戦の結果についてこう語っている。引き分けでも十分な試合ながら、森保ジャパンは徹頭徹尾、勝つつもりで挑んでいたのだ。
「今はチーム全員が戦力になっていて、誰が出ても戦える、勝てるチームだと思います。ハーフタイムでも『他会場のことではなく、この試合に勝つことに集中して』とみんなで話していました」
こうした難しい試合(勝っても1位になるのは困難で、引き分けると2位、負けた場合は3位に転落する)で、勝つことに集中できるメンタリティこそ、森保ジャパンが「史上最強」と言われるゆえんかもしれない。"清濁併せ?む"と言うのだろうか、何があっても平常心でしたたかに戦える。日本サッカーが海外の修羅場を経験することで身につけた力だ。
そのプレー精神が、正念場のスウェーデン戦で出た。
終盤、日本はまたも流れを失っていた。交代出場した長友佑都のポジションは完全に狙われており、何度かは彼が触ってボールを敵に渡す形になって攻撃を受けた。そのストレスからチームが瓦解してもおかしくなかったが、彼らは粘り強く跳ね返し、立て直した。そして驚くべきことに、最後まで勝利を狙ったパスを出していた。
「こっからワールドカップが始まります!」
試合後の取材エリアで、堂安はそう気勢を上げていた。日本中が熱狂したグループステージはまだ序の口だということか。攻撃も守備も、選手たちのプレー基準が上がったのだ。
ラウンド32で日本はブラジルと対戦することが決まっている。率直に言って、旗色は悪い。しかし、どんな相手にも、どんな状況にも怯まなくなったチームは、簡単に屈することはないだろう。
「タフなゲームになると思いますが、自分たちの戦いをしたら、ブラジルにも勝てるはず。まずは万全の準備をして」
この日、殊勲のゴールを決めた前田が宣戦布告した。
著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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