サッカー日本代表の未来をつくるSBSカップ 夏から冬への開催変更で試合のレベルが上がった (3ページ目)
【夏から冬の開催変更で試合はレベルアップ】
SBSカップには毎年欧州や南米の強豪が来日している。昨年はU-18アルゼンチン代表が来日したし、スペインは2015年にも来日している。
僕は、2015年のスペイン戦も観戦したが、この時の日本は町田浩樹や板倉滉、堂安律、小川航基などがいて、1対1で引き分けている(スペインには、レアル・ソシエダで久保建英と同僚のミケル・オヤルサバルがいた)。
ただ、この時のスペインは真夏の日本の暑さにてこずっていた印象が強かった。
SBSカップは、昨年まで夏休み中の8月に開催されていたからだ。10年前のスペイン戦も8月13日。日本独特の蒸し暑さは、欧州の選手たちにはあまりにも過酷な環境だ。
そのSBSカップが今年から12月開催に変更された。スペイン戦は雨のなかでややスリッピーなピッチだったが、気温は14度とサッカーの試合にふさわしい条件だった。それだけに、スペイン代表も力を出しきることができた。
変更のきっかけとなったのは昨年の大会だった。開幕日の静岡ユース対U-18アルゼンチン代表の試合はキックオフの50秒後に雷雨で中断。約2時間後に60分ゲーム(30分ハーフ)として再開されたものの、後半開始から4分15秒が経過したところで再び雷雨となり、試合は約35分間で終了。その時点のスコアでアルゼンチンの1対0の勝利となった。
それがきっかけで今シーズンから冬の開催になったのだが、試合のレベルは間違いなく上がった。
現在の形式では連戦があるので(今年の場合、木曜、土曜、日曜に試合)80分ゲームにせざるを得ないが、せっかく冬の大会になったのだから、連戦をなくして90分ゲームができるようになるといいのだが......。
いずれにしても、山口監督率いる日本代表を今後も見守っていきたいものである。
著者プロフィール
後藤健生 (ごとう・たけお)
1952年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。1964年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、1974年西ドイツW杯以来ワールドカップはすべて現地観戦。カタール大会では29試合を観戦した。2025年、生涯観戦試合数は7500試合を超えた。主な著書に『日本サッカー史――日本代表の90年』(2007年、双葉社)、『国立競技場の100年――明治神宮外苑から見る日本の近代スポーツ』(2013年、ミネルヴァ書房)、『森保ジャパン 世界で勝つための条件―日本代表監督論』(2019年、NHK出版新書)など。
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