サッカー日本代表の未来をつくるSBSカップ 夏から冬への開催変更で試合のレベルが上がった (2ページ目)
【ユース世代の"勝負弱さ"解消へ】
今年、チリで行なわれたU-20W杯で日本代表はグループリーグを首位突破。ラウンド16でもフランス相手に圧倒的優勢に試合を進めたが、120分間ゴールを割ることができず、逆に終了直前にPKを取られて涙をのんだ。
U-20W杯予選を兼ねたU-20アジアカップ(2月、中国)でも優勢に試合を進めながら勝ちきれない試合が多く、準々決勝のイラン戦も引き分けに持ち込まれ、かろうじてPK戦でW杯出場権を獲得した。
日本の選手は個人戦術やテクニックなどに優れているが、アジア杯、W杯を通じて勝負弱さを感じざるを得なかった。
今年のU-20日本代表を率いたのは船越優蔵監督だった。船越監督は、指導者としてはいくつかのクラブの育成部門を担当したあと、2023年に当時のU-18日本代表監督に就任した、いわば「育成畑」の指導者だ。
船越監督だけでなく、年代別日本代表を率いる監督には育成専門の指導者が就任することが多い(船越監督は来シーズンからアルビレックス新潟のトップチームの監督に就任)。
僕は、今年のU-20アジア杯やU-20W杯を見ながら、勝負にこだわる采配ができるJリーグのトップ監督経験者に担当させてみてはどうだろうかと考えていた。勝負にこだわらないと、いずれはU-20アジア杯で敗退してU-20W杯出場権を失う可能性があるし、U-20W杯で上位進出を果たすことは日本代表の将来を考えても大切だと思ったからだ。
そして、実際に2027年U-20W杯を目指すU-18日本代表の新監督には、つい先日まで湘南を率いて「残留争い」という勝負にこだわる采配をしていた山口監督にバトンが渡った。
その最初の大会で、日本代表はスペインという世界レベルの強豪と真剣勝負に近い試合を戦った。早い時間に先制されたもののすぐに逆転。追いつかれたあとは押し込まれる展開となり、耐えていたものの退場者を出すという、さまざまな状況を経験できた。
立ち上げの段階でこんな真剣勝負に近い試合を経験できて、新チームには勝負にこだわる姿勢が身につくことになるかもしれない。敗戦は残念だったが、このスペイン戦はすばらしい経験になったのではないだろうか。
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